代表の野倉と私、白井でインドの工場と農場を視察してきましたので、報告します。
【10月4日(水)】
11:15 LV Narita by AI307
17:00 AR Delhi
白井(個人的には3年ぶりのインド。入社して2年が経ち、ついに念願だったオーガニックコットンの現場を見にいくことになる。)
タクシーで空港から西遊ホテルがあるMGロード駅まで。
白井(駅より徒歩1分と聞いていたが、分からず迎えにきてもらう)
野倉(部屋は金額の割には安い。夕食は外だが、どこもリッカ―ライセンスを持っていなくてビールを飲めず)
【10月5日(木)】
野倉(朝食は和食お願いしていたが、GOOD). 予約していたタクシーで空港へ。)
9:55 LV Delhi by AI429
14:30 AR Coimbatore via Chennai
ホテルのタクシーが迎えに来ている。Le Meridien, Coimbatore : 5星ホテル。
夕食はホテル1Fのインドレストランでバンケット。野倉(結構高級)
白井(すべての料理にインドスパイスが入っているが、味はまずまず)
【10月6日(金)】
ホテルの周りには何もない。同じレストランで朝食をとる。
Damian Carnevale (元リーメイの方。奥様も元リーメイ。インドにきて、7年が経つという)がわざわざBangaloreから車で7時間かけ来てくれる。 Lobby で9:00に待ち合わせ。
これから出るときに、たまたまリーメイに昨年に入られたThomas Rast (営業をやっておられる)
とLobby でお会いする。彼もたまたま縫製工場のKaytee の社長と工場へ出かけられるところでした。きっと繊維関連の工場がたくさんあるのだろう。
我々はBKSの車で本社へ。約20分で到着。
◆ BKS 本社
まずは本社の商談ルームに案内される。
社長とDirectorで社長の次女から会社の概要説明を受けてから案内をしていただく。
そして、早速、本社工場を見学する。少しずつ拡張していったと教えてもらう。
(生地巾最大3m強が可能) (ボイラーには間伐材を使うとのこと)
(輸出用の2重梱包)
真中が代表の方。1代でここまで会社を大きくした。インド経済が一気に大きくなったことを伺える。一番左がDamian.
(本社前にて)
本社工場でサイジング工程、織りの工程。試験室もここにある。工場には男性の割合が多い
工場見学後、日本から持ってきたブロード、ガーゼ、シーチングを見せての打ち合わせ。BKSからもサンプルを頂く。
船積前に1反日本に送り、TESTがOKであれば、正式に船積みするというのはナンセンスなので、
はっきりとした条件を出してくれと要求される。帰国後、Damianに返信する。
車で第二工場のUnit2へ移動。本社から車で15分ほど。
◆BKS Unit2(第二工場)
何十台もの織り機がずらりと並ぶ。静岡のシャトル織機と比べると新しい。ほこりも少なく、日本の織物工場よりもきれい。フェアトレードという言葉、日本の繊維産業にも必要なのだと思う。誰か、国内フェアトレードってやっていないのかな。
途中で昼食を取り、約1時間かけ、稼働したプロセス工場へ。
◆BKS プロセス工場
とてもいいレイアウト、水処理も素晴らしい。サイジングや染めなどに使われた水はまずは一か所に集つめられる。4段階の処理を得て、92%の水がクリーンな水に戻る。そのほかは5%蒸発、3%ロス。日本よりもレベルの高い設備に驚く。日本は水が豊富なので意識が低いのか、昔からの産業のため法整備が追いついていないのか、分からないが、水も大切な資源だと改めて痛感させられる。日本の繊維産業が経済的に上手く回るようになれば、設備投資をしっかりできるのだが、現実的ではない。
本社工場(unit1)とUnit2の工場で織られた生機をここで加工する
毛焼したあとにデサイジング。
酵素を使ってデンプンを落とすのに6時間かかる。オフ白への加工は過酸化水素を使うことが多いとのこと。
加工は8000m/日、稼働率80%。 今後は輸出を増やしていきたいと意気込む。
この工場は稼働してまだ1年しか経っていない。加工の機械を見ると、中国製のものが目立つ。働いているひとはまばらで、日本の工場とあまり変わらない。最小限の人数で運営しているのだろうか。
これで、DamianはBangaloreへそのまま帰り、我々はホテルまで送ってもらう。
夕食は2FのPONZ(チャイニーズレストラン)で取るも他のお客はゼロ。
【10月7日(土)】
12:25 LV Coimbatore by 9W386
14:15 AR Mumbai(飛行機は1時間遅れ)
チェックイン後、Simonと会う。KFCで夕食。
18:55 LV Mumbai by 9W2385
21:00 AR Indore(飛行機は1時間遅れ)
空港に到着して、車で農場に向かう。車窓の中から、インドールという町がとても大きいことを実感する。すぐに畑が見えてくるような田舎を想像していた。雨の影響により、2時間以上かかり、トレーニングセンター着(0:20)、就寝。
【10月8日(日)】
雨はすっかりあがり、とても気持ちの良い朝。田舎の澄んだ空気を感じる。
8:30 朝食をVivekと。朝食後、早速トレーニングセンターを案内してもらう。
◆トレーニングセンター前、新しく使った種子の保存、繁殖ハウス
◆センター、牛角コンポスト
(雌 牛の角。2g/エーカーを撒く。Simon「効果があるのか」とvivekに聞く。二酸化ケイ素?)
バイオダイナミック農法。私自身、はじめて触れる。日本にもバイオダイナミックを実践している農家さんが北海道、千葉、阿蘇にいるという。
車でジニング工場へ移動。青と白の特徴的な建物。
◆新ジニング工場、見学
ダブルローラーで綿(リント)とシードを分ける
ローラー後、風をつかって、ゴミを除去。通常は3段階だか、bioReは6段階行う
稼働はしていないが、デモとしてみせてもらう。あっという間に分かれてしまう。
工場前には無造作に収穫されたコットンボールが積まれている。
◆ジーニング工場前で打ち合わせ
農家ごとにGMテストをする。その他、ドライバー情報やモイスチャーテストなど
新聞切り抜きはCotton marketを記録している
すべての農家さんが育てたオーガニックコットンをGMOテストし、記録として残している。とても安心できるシステムだ。
ジニング工場から別の畑へ移動する
◆ある農家さん
(Bollwomsの侵入跡 ) (害虫のBollwoms)
Vivek曰く、PinkBollwomsがとても危険とのこと。BTコットンにつくとのこと
(3年目の農家さん)
若い農家さんの写真を撮っていたら、一緒に写りたいとのことで、この地区をまとめている人とのツーショット。
Bollworms。コットンの実に小さな穴が開いている。その実を割ってみると中から幼虫でてきた。bioReの農場でも被害があるという。ただ数は少ないので、この畑は健康だと彼らは言う。たしかに有機農場
Bollwormsが全くいないというのは確かに矛盾する。これが有機農業だと実感する。
トレーニングセンター近くに実践農場へ移動する
FiBL実験農場内
◆種子保管冷蔵庫
年ごとに種を分けて保管している。ここまでしているのかと感心する。
◆土壌保管施設
土まで保管しているとは思っていなかった。実験というのは、すべての組み合わせを試すということなのか。長い時間のかかる取り組みに感謝するしかない。その隣部屋には虫を研究する部屋もある。
夕食はトレーニングセンターにて。炎天下、疲れを感じる。そんなかで農家さんたちは綿花を摘んでいく。大変な作業である。
夕食後は久しぶりに蛍を見て、夜は雨、雷。
【10月9日(月)】
8:30 朝食、集合。
Kalakhet村へ行く途中に小麦の選別工場を訪問。歓待を受ける。農家さんは綿だけでなく、他の作物も育てている。その部分もお手伝いできないかと考えているが、難しい。
◆school
Panoco Animation Schoolへ。(トレーニングセンターより80km)
学校も周りの木とても大きくなっており、丘の上からは全く学校が見えなくなっていた。
Gogul先生とその奥さんもいっしょに先生をされており、PTA活動もしっかりし、良い雰囲気。
幼稚園生、小学校1年から3年生ぐらいの2クラス
いつもの真っ先に手を挙げる子供たちも、今日は恥ずかしがっていますと先生が笑顔で話す。
◆school
歌や踊りで歓迎を受ける。毎年、当社が支援をして、先生の給料もその支援の中から捻出される。
学校を離れ、1軒の農家(子供が学校に通っておられる)の畑で昼食。
Castor (ひまし油原料), Black Gram, Maiz, Chili なども見せてもらう。
(castor)
bioRe Field office の1か所を訪問する。
◆office
左の写真は4色の伝票で管理している。黄色は初年度の農家さん。ピンクは二年目。ブルーは三年目。一目でわかる仕組みだ。 右の写真はbioRe スマートフォンで管理するデモ画面。GPSで農場の位置を把握するなど先進的な取り組みだ。
その後、8haある品種改良をしている実験農場を案内してもらう。8haと言われてもピンとこない。
◆8haの種子開発農場
小高い丘の畑にて、いろんな種類の種を作っている。F1や在来種。機械積みに対応できるようなものまで。またデシ綿でも繊維長が長いものを作っている。手間と時間が必要な作業が続く。
Maizeの選別工場訪問。コットン以外の作物を輸入することで彼らは豊かになっていくのだろうか。グローバリゼーションとローカリゼーションという考えが行き来する。
夕食時は大雨。
◆Reunionからの昆虫学者 (左はsimon)
昆虫学者はすでに1年半ここに滞在している。毎年、学生や学者を受け入れている。
【10月10日(火)】
8:00 Vivekと朝食
ここ数日の雨でコットンの収量は20%ほど落ちてしまっただろうと。
また、丁度収穫期の大豆もダメージが大きくて、農家は大変だと沈んだ表情のVIVEK.
9:00 センターを出発。空港へ
SimonはRSWM(当社は杢糸をお願いしている)へ車でそのまま乗っていく(BHILWARAまでは約7時間)。
Udaipurまで飛行機で行くには直行がないのでもっと時間がかかってしまうため。
車中少し、新しいbioRe Labelのコンセプトを聞く。良いとは思うが、パノコのとっては?
帰ってから新しい契約書を送ってもらうことに。
11:00 Indore 空港着。 Simonとは別れる。
13:30 LV Indore by 9W789
15:00 AR Delhi
空港で軽食。
21:15 LV Delhi by AI306
8:45 AR Narita
最後に
初めてインドの農場を訪れた。自分自身の新たな課題も見えてきた。また、実際に現場を見ることで、示唆的ななにかことを感じることできた。「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないというレイチェルカーソンの言葉を思い出す。
ただ知っていることも重要だと思う。1mm以下の虫(点にしか見えない)を見て、益虫だ、害虫だと判断できる農家さんたちにはすごい。レユニオンから来た昆虫学者も言う。オーガニックファーマーにこの虫、何と聞くと、益虫、害虫とすぐに判別するが、コンベンショナルなファーマーに聞くと、「分からない」との一言だけ。きっと、その知識が知恵へと変わっていく。トレーニングの重要性を再認識する。
「知ること」と「感じること」どちらも大切にしていきたい。オーガニックコットンが「ビジネス」と「環境」というバランスと取るように。
今後は私たちのお客様はもちろん、オーガニックコットンに興味がある一般の人もインドもしくはタンザニアの農場に連れて行けるようにしたいと思う。きっと彼らも多くのことを感じてもらえるはず。効果は20年後かもしれない。それでもオーガニックコットンビジネス、環境という範疇が広がっていくことを長い目で見ていきたい
(矛盾するが、バランス取りすぎると良い方向に行かないような気もする。難しい)
そして私自身、変わったことは「農業」に興味を持ったことだ。都内で生まれ、そこで育ったので、自然や農業は身近な存在ではなかったけれども、これから生きていくには知らなくてはいけない知識だと思う。時間を作って、貸農園でやってみたいと思うのだが踏み出せるかどうかと悩む。まずは自然栽培で、在来種で野菜を育てている農家さんを見つけたので、そこの宅配を頼んでみようと思う。
生物多様性について
幸運にもbioRe農場では、ゲストハウスに泊まることができた。その中は、ヤモリ、蜘蛛、ネズミ、よく分からない小さな虫。私は奇しくも生物多様性を感じる。都会に暮らしていて、害虫といっても限られてくる。オーガニックコットンもこういった生物、植物の多様性を理解することで、農薬、化学肥料を使わずに農業をしている。オーガニックコットンにはすべての社会問題が凝縮されている。オーガニックコットンが広がっていくこと、即ち地球が良くなっていくことへの証のようになっていけばと願う。小さな種に過去の多様性が受け継がれるように、多様性であることの大切を感じる。
shirai