REPORT[レポート]

bioRe INDIA Open House Day 2009

私たちは毎年、bioRe プロジェクトの「Open House Day」に出席していますが、
2009年は弊社のお取引先様であり、またNOCの会員でもある壷内タオル(株)の壷内社長にもご参加をいただきました。 
そこで今回のレポートは特別に壷内社長にお願いしました。

Text : Taku Tsubouchi
■ 2009. 11. 01
東京から直行便で10時間、夕刻ムンバイへ到着。
  • 着陸前の飛行機から見た夕暮れせまるインド大陸

    着陸前の飛行機から見た夕暮れせまるインド大陸

■ 2009. 11. 02
ムンバイでパノコトレーディングの御法氏と落ち合うまでの間、少し街を歩いてみる。
  • ムンバイ市街を望む。スモッグがひどい

    ムンバイ市街を望む。スモッグがひどい

  • ムンバイの中心街は思いのほか歴史を感じさせる<br />
落ち着いた街並みだった

    ムンバイの中心街は思いのほか歴史を感じさせる
    落ち着いた街並みだった

夜便で空路インドールへ向かう。ムンバイからインドールへは飛行機で約1.5時間。インドール泊。
■ 2009. 11. 03
REMEI社のドライバーがピックアップに来てくれてトレーニングセンターへ向かう。
bioReトレーニングセンターはインドールから南へ約300kmのMadhya Pradesh州Kasrawadという町にある。
このあたりはインド中央部のコットンベルト地帯でNarmada Riverを水源としているようだ。
車はハイウェイとは名ばかりの道をひた走ること2時間半、Narmada Riverの支流が見えてきた。トレーニングセンターはもうすぐのようだ。
ハイウェイにはたくさん牛を見かけたし、羊の群れもいた。インドの人は動物に寛大。
ハイウェイを出て田舎道を走っていると女性がしゃがんで黙々と何かをしていた。聞くと道路を舗装するために整備しているとのこと(驚)。
  • インド国産の高級車アンバサダー。カッコいい

    インド国産の高級車アンバサダー。カッコいい

トレーニングセンターではREMEI社長の子息サイモン氏が出迎えてくれていた。
ここは、視察客の宿泊施設のほかプロジェクトに参加する農家の人たちの教育機関にもなっておりそのための様々な施設が作ってある。
バイオダイナミック農法を説明するための銀河系天体模型、バイオガス生成設備、試験農場、コンピュータ施設、織物設備など
ひととおりの訓練ができるようになっており、参加農村の代表者が一年中入れ替わりで教育を受けに来ている。
プロジェクトは出資者の支援や基金で運営されており日本ではこのような施設は恐らくないと思う。
  • bioReトレーニングセンター風景

    bioReトレーニングセンター風景

  • センター敷地内にて

    センター敷地内にて

  • バイオダイナミック農法を学ぶための<br />
銀河系天体模型

    バイオダイナミック農法を学ぶための
    銀河系天体模型

  • トレーニングセンターの見取り図

    トレーニングセンターの見取り図

  • 試験農場で綿花の栽培状況をチェックするスタッフ

    試験農場で綿花の栽培状況をチェックするスタッフ

  • 堆肥となるコンポスト。その他牛の糞を集めて<br />
バイオガスを発生させる設備などもあった(臭)

    堆肥となるコンポスト。その他牛の糞を集めて
    バイオガスを発生させる設備などもあった(臭)

トレーニングセンターをひととおり見た後、bioReプロジェクトに参加している集落を視察。
このあたりは一面手付かずの草原地帯だが、集落に近づくにつれひどい道になり、
(恐らく雨季には大雨で川ができ乾季には干上がるという現象が 繰り返されていると思われる)、ドライバーも迷いそうになった。

集落ではみんなが集まってくれており、綿花畑を見学して少しディスカッションとなった。
同行したムンバイの紡績会社の人によるとこの地方の綿花はほとんど単一種シャンカ6という品種とのこと。
畑は綿花~大豆~小麦の輪作でbioReが買い上げるのは綿花のみ。小麦と大豆は自家消費や地元の市場へ売りにいく。
オーガニックということである程度のプレミアムが付くようだ。

こういう集落が地域内に点在しており、bioReの周回スタッフが最低月に1回は訪問して指導と収穫量の管理に当たっている。
この日案内してくれたスタッフに自分の担当地域ファイルを見せてもらったが、とても広範囲かつ多くの集落を受け持っており
苦労がうかがえるが、本人に聞くと「やりがいのある仕事で満足している」との答えが帰ってきた。
  • 集落の1軒

    集落の1軒

  • 写真の中央の人が集落周回スタッフ

    写真の中央の人が集落周回スタッフ

  • 野外学校(FFS)での集落の人たち

    野外学校(FFS)での集落の人たち

  • 宿泊施設

    宿泊施設

今回私たちと一緒に視察に参加した人は、このプロジェクトに興味を持ったNPOで働くドイツの女性、音楽教師のスイス人、
REMEI社の広報スタッフなど総勢8名ほどだ。

一行はトレーニングセンター内にある宿泊施設(個室コテージ)に宿泊し、同じくトレーニングセンター内の食堂で食事を取った。
決して豪華な食事ではないが、どれも新鮮な食材(もちろんオーガニック)でおいしくいただいた。
食後の後片付けは各自やるなどホテルというよりは共同生活といった感覚だ。
コテージは広くてシャワーあり、快適だったが蚊には悩まされた。

11月といえども昼間は30℃以上になる。割と湿度もあり日本の真夏に近い感じだ。
ただ朝晩は上着が要るほどぐっと冷え込むあたはやはり大陸性気候である。
■ 2009. 11. 04
ちょうどこの日に合わせてbioReが開校する小学校を視察。 この学校はフィンランドの会社の寄付によるもの。
パノコトレーディングの寄付で開校する小学校とのエキジビジョン・サッカー大会がオープンセレモニーに花を添えた。
この学校は生徒数39名、教師1人。サッカーをする子以外普段はみんな靴を履いていないようだ

この日は開校式ということで保護者や家族も大勢見学に来ていた。プロジェクトが地域に歓迎されていることの証と言える。
視察者全員が1本ずつ記念植樹。私が植えた木のお世話をしてくれるニーシャ。
彼女を含めてみんながきちんと教育を受け、成人して地域を支えてくれるようになることを祈らずにいられない。
公立学校もあるが集落によっては非常に遠いため、その隙間を埋めるようにbioReが学校を建設している。
  • テープカットをするピーターさん

    テープカットをするピーターさん

  • 視察者全員が1本ずつ記念植樹

    視察者全員が1本ずつ記念植樹

  • 私が植えた木のお世話をしてくれるニーシャ

    私が植えた木のお世話をしてくれるニーシャ

学校視察後、ビオレが運営しているジンニング工場へ。
インドでは、ちょうど今が収穫期のようでこの工場や近所の工場どこも収穫した綿花を山積みした牛車が列をなして工場へ入っていた。
ジニング工場の責任者に聞いたところ、綿花種はいくつかあるがどれも似たような品質なのでミックスしても問題ないとのこと。
このあたりは日本企業が買い付けるのと違ってとてもおおらかである。
日本企業だと「やれ混ぜるな」とか「混綿はきちんと管理しろ」とうるさいはずだ。
運び込まれた綿花は牛車ごと日本でいうトラック貫貫で重量を測り、農家にはその場で現金を支払う。

パキスタンも同じであるが、雨季と乾季がはっきり別れているため乾季には綿花を屋外で保管する。
保管場所の上をパイプラインが通っており、人力によって綿花がパイプラインに吸い込まれていく。
ジン工場でも農家の人たちを集会してくれて、実際に農家の人たちがこのプロジェクトどう思っているのかという話を聞いた。
具体的なことには多少不満もあるようだが、総論としては概ね参加してよかったという意見にみんなうなづいていた。