REPORT[レポート]

BioFach(ビオファ)2010/ bioReセミナー

2010年9月21日から23日の3日間、東京ビッグサイトにて「BioFach Japan オーガニックEXPO」が開催され、Panocoも出展しました。 「BioFach(ビオファ)」とは、ドイツ語で「オーガニック専門」という意味で、BioFach オーガニックEXPOはドイツで始まった世界最大のオーガニック専門見本市。2001年にBioFach Japan(ビオファ・ジャパン) オーガニックEXPO』が開催されてから、日本では今年が10年目に当たり、日本での開催10周年という会にふさわしい、最多数の出展者、最多数の来場者という賑やかな、活気のある3日間になりました。

 

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Panocoは、オーガニックコットンを取り扱う出展企業が並ぶ 「オーガニックコットンストリート」にブースを構え、フェアトレード原料のオーガニックコットン100%の生地を多数展示し、そのバラエティの豊富さと品質の高さで来場者の注目を集めました。
また展示ブースの他、オーガニックコットン原綿の生産地で展開されている「bioReプロジェクト」のCEO、Rajeev Baruah氏と、その妻であり同じく「bioReプロジェクト」の運営を担当するRitu Baruah女史の講演会を行いました。 以下にその講演の概要をご紹介します。

 

 

■9月21日 14:30~15:30 Rajeev Baruah氏の講演
「インドのオーガニックコットンの現状と遺伝子組換えに対する bioReプロジェクトの攻防。インドにおけるオーガニックコットン現状と、また遺伝子組み換え種子に対抗する措置はbioReプロジェクトではどのように行なわれているのか?」

 

<講演趣旨>
綿はインドの重要な繊維作物であり、約950万ヘクタールで耕作されておりその内90%近くのものが遺伝子組み換えです。
またコットンの殆どが小規模農家によって育てられており、紅茶、コーヒー、ゴム等のような大規模農場ではありません。綿は、半乾燥地域で栽培され大半は乾燥した痩せた土壌で栽培されております。
そこにはインドの農民達が直面している幾つかの問題があります。一番の問題は”種”であり、農民たちは殆ど利益追求型の種子製造会社によって作られた”ハイブリッド”に依存しております。これらの”種”が灌漑、肥料と、殺虫剤に依存する農家を生み出しているのです。言い換えればその全てが“持続可能”の正反対であると言うことです。
小さな、そしてやっと収支があがなえる農家は一部に過ぎず、更に彼等の収穫は殆どが天候(モンスーン)次第なのです。これが彼らを非常に傷つきやすくしております。また農民に対する政府のアドバイスはないも同然です。そして農民に持続可能な提案をするひとは誰もいません。

bioReの活動はこのような背景があるからなのです。様々な分野がありますが、種子の供給から、持続可能なオーガニックの栽培方法の紹介、有機農業に対する各農家レベルでの、ユニークなトレーニングセンターでの教育訓練までを実施しております。この分野で長年働いてきたbioReの職員達は全ての活動を、また遺伝子組み換えのコットンとの区別の仕方を熟知しております。

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■Rajeev Baruah氏プロフィール 1959年インドAndhra Pradesh州Hyderabad生まれ。 デリー大学の社会人類学のマスターコース修了後、インド北東部アッサム地方の紅茶農園で10年間従事した後1992年に中央インドのオーガニックコットンに参加し、以来インドのオーガニックコットンのパイオニアとして活動し現在に至る。またbioReプロジェクトに当初から関与している。 Rajeev氏はインドでオーガニック運動に深く関わり、その創始者のメンバーでもあります。たインドバイオダイナミック農業※組織(BDAI)やオーガニック農業国際所管センター(ICCOA)の役員でもあります。彼はオーガニックコットン及びbioReテキスタイルチェーンについての国内国際フォーラムにおいて様々な研究報告を行なって来ました。
Rajeev氏は過去18年間その領域で農業者と共に働いており、綿花栽培農業者を組織化したり、認証のためのアドバイザーサービス等広範囲に亘り活動しています。今日bioReは独自の綿繰りの工場を保有しており、それは社会的責務の規準(SA8000)の認証を世界で最初に取得しています。
bioRe India LTD.の社長として、契約農業者を組織化し彼らに認証、綿やその他の農作物の収穫、綿繰りをアドバイスしたりすることが彼の責務であります。またbioRe テキスタイルチェーンは独自の規準を持っておりそれをサポートする為にもRemei社に深く関わっております。

<※注>バイオダイナミック農法-人智学やその教育で有名な学者ルドルフ・シュタイナー(1861-1925)が1924年に提唱した自然と人間との調和をコンセプトに、ひたすら自然の摂理に従って種を撒き、栽培し、収穫することによって、植物そのものが本来もつパワーを最大限発揮させようという有機栽培農法です。農薬・化学肥料・殺虫剤を使用しないのは勿論のこと、農作業はすべて天体運行(星/月/太陽の活動やその他の惑星)にあわせて手作業で行ないます。

 

 

■ラジブさん、リトゥさんご夫妻、織田ファッション専門学校で講演

9月24日(金)午前10時40分-11時50分
ビオファ2010展でエシカルファッションショーなど、協力をいただいた織田ファッション専門学校の学生の皆さん向けに、ご夫妻の特別講演会が催されました。
全学年の学生の皆さんが講堂に集まりました。まずご夫妻は、学生の皆さんから暖かく迎えられ、記念品がプレゼントされました。
ラジブさんのインドに於けるオーガニックコットンプロジェクトについての講演の後、奥さんのリトゥさんから女性の自立や子供の教育についての社会活動についての講演がありました。

ファッションデザイナーをめざす学生の皆さんは、常に形や色や シルエットの美しさ、そして布地の風合いや機能について学んでいます。その上で、素材としてのコットンのエコロジー性や社会性についても学ぶ事によって服飾としてのより深い洞察力が養われるものと思います。

イギリスのファッションデザイナーのキャサリン・ハムネットは、一貫してエシカルのテーマをベースにおいて成功してきました。パリでは今年9月25日からエシカルファッションショーが4日間、開催されました。http://www.ethicalfashionshow.com/efs2/homepage.html このようにヨーロッパではファッションの業界でエコロジーやフェアトレードのテーマは年々重要視されてきています。その意味で、インドのオーガニックコットン農業プロジェクトで8,000人の農民のリーダーとして実際に活躍されているお二人の講演は意義深いものでした。織田ファッション専門学校からエシカルファッションの先駆者がどれだけ輩出されてゆくか、これからが楽しみです。

 

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