この度、パノコトレーディング では世界三大高級綿のひとつであるGIZAコットンの取り扱いをはじめます。
GIZAコットンは、およそ2400年前からエジプトの人々の生活に根付き、今日まで受け継がれてきました。
今回、取り扱いをはじめるのはその中のGIZA92。
GIZAコットンの品種の中でも特に質が良いとされる超長綿で、もちろんオーガニックコットンです。
今回から私たちのパートナーになってくれるSEKEM社は
この希少なオーガニックコットンを栽培するプロジェクトを行なっています。
2017年よりUNIDO(国際連合工業開発機関)のEgyptian Cotton Projectに協賛し、
高い品質のコットンを生産できるよう綿農家への勉強会を開催するなど、契約農家以外への支援も行っています。
コットンのみならず、様々な農作物をバイオダイナミック農法のみで生産しており、
2003年には第二のノーベル賞とも言われるライト・ライブリフッド賞を受賞しました。
今回は、前編に引き続き、10月に行われた収穫の様子をお伝えいたします。
弊社の御法がエジプトまで赴き、収穫に立ち会ってきました。
10月11日にエジプトのカイロ国際空港へ到着。
その足で、空港から1時間半ほどの場所にあるSEKEMの本社を訪れました。
敷地内には、事務所、工場、学校、博物館などがあります。
創業から過去40年間で、680ヘクタール以上の砂漠を、それらの教育施設やオーガニック作物の農地に変えてきました。
保育園から大学、職業訓練校までをもつくり、若いこれからを担う世代への教育を支援しています。
10月12日。早朝に出発し、GIZA92が栽培されている地中海に面したダミエッタへ向かいます。
上/ダミエッタ の海岸と地中海。家族が遊んでいます。
上/コットン畑の前にて
左から農業指導者Ali Faragさん、Ezzet Mohamedさん、弊社 御法、綿農家 Al-Seddik Rashadさん。
Al-Seddikさんは20年以上SEKEMと超長綿を栽培しています。
広大な畑に実った綿花の収穫は、ていねいに手摘みで行われるため、長い時間がかかります。
9月末から始まった今年の収穫は、10月下旬まで行われました。
今回畑を訪れた10月12日には収穫も終盤。
上/綿を優しく摘み取るAl-Seddikさん
エジプトの気温は7月・8月をピークに、冬に向けて徐々に下がってはいきますが、
それでも10月の最高気温は30度超えで日本の真夏レベル。
そのため、綿花の収穫は涼しい早朝から始まり、午前10時ごろまで行われます。
綿花を収穫する時は、がく(元々綿花を包んでいた実の部分)ごと摘み取る方法もありますが、
葉のクズが入らないようひとつひとつ綿花のみを摘みとっていきます。
上/収穫作業中の農夫さん
苗の上の方の綿花は早い段階で収穫が済んでいるので、腰をかがめての作業が続きます。
大切に手摘みされたこのふわふわの綿花が、次に辿るのが「ジニング」と呼ばれる綿と種をわける工程です。
翌日の10月13日は、ジニング工場へも足を運びました。
ダミエッタから車で南西へ2時間半ほど。
綿の収穫が終わった頃から年末まで稼働します。
オーガニックコットンのジニングが行われる際は、SEKEMの担当者Ezzetさんが工場に常駐し、
他の綿が混ざらないよう徹底的に管理されます。
ジニングの工程で一般的に使われているのはソージンと呼ばれる機械ですが、
私たちが取り扱うGIZA92に使われるのは、一般的なソージンではなくローラージンと呼ばれるものです。
ソージンは、大きな回転する刃で綿花を梳いて綿から種を取り除くのに対し、
ローラージンは、2本のローラーの間に綿花を通し、種を押し出すように抜き取ります。
ソージンよりも昔から使われている機械で、綿花に刃を入れずに綿と種をわけるので、
繊維につく傷を最小限に抑えることができるのです。
上/綿と種をわける2本のローラー
ローラージンの作業能率はなんとソージンの10分の1と言われています。
それでも、丁寧に時間をかけて、優しく綿と種を取り分けるのです。
上/工場にずらり並ぶローラージン
工場内には80機ほどが設置されています。
オーガニックコットンというとどうしても農家さんが注目されがちですが、
実はこんなところでも文明の力に頼らず、より良いものを作るための、ていねいなものづくりが行われているのです。
今回ご紹介したこのストーリーは、旅のほんのはじまりに過ぎません。
GIZA92を新作生地として皆様にお届けできるのは2019年春。
このコットンたちがこれからどんな旅をして、
どんな形となって皆様の元へ旅立っていくのか、乞うご期待ください!